こんにちは、大阪の縮毛矯正専門店・矯正屋の辻和典です。
実は今日(2025.6.25)は2名のお客様をお断りしました。
正直に言って「お客様をお断りする事」を良いことだとは思わないですし、その自分の店にとってネガティブな事実をこうしたブログで公開する事には躊躇しました。
一部のお客様や見込み客からの誤解や反感があるかもしれないからです。 「高圧的な店」「偉そうな店」という受け取り方をされる可能性もゼロではありません。
でも、それでもこのネガティブな事実を書こうと思ったのは、矯正屋の考えや姿勢を明確にしておき「誰に向けたサロンか」をはっきり伝えることで、今回のようなミスマッチの予防にもなると考えたからです。
また、同じようなお客様トラブルで悩んでいる同業者や後進の美容師たちに、こんな考え方もあるんだという事を伝え、少なからず勇気づけられる美容師がいるのではないかという思いで今回のブログを公開する決断をしました。
これを見て、矯正屋に不快な感情を抱く方もいるかとは思います。
そういった方は矯正屋には向かないお客様だと思いますので、どうぞ無理に来店しないでください。
それよりも、自分の価値観に合ったお店を選び、より良い関係が築ける美容師と出会ってほしいと心から思っています。
目次
実は今日、2名のお客様をお断りしました
正直に言います。
今日は2名のお客様の施術をお断りしました。
僕は大阪・藤井寺で縮毛矯正専門の美容室「矯正屋」を一人で経営しています。美容師として44年、縮毛矯正の専門家として25年以上、お客様の髪と本気で向き合ってきました。
そんな小さな個人店にとって、1件の予約は非常に大切です。
実際、今日のお断りで失われた売上は88,000円。笑っていられる金額ではありません。
普通なら痛すぎるのでそのまま施術するところですが、それでも断るという選択を僕はしました。
これが僕にとってどれほど重い決断だったか──
まずお伝えしたいのは、こうしたお断りは滅多に起こることではないということ。
僕自身は決して「頑固」を売りにしている職人気質の美容師ではありません。
お客様の意思は出来るだけ汲み取りたいと思いますし、サービスを放棄すると言う事は、サービス業において最もしてはいけない事だと考えています。

今回お断りした2名の方が悪かった訳ではない
今回のようにお客様をお断りするという事は僕にとってもごくまれなケースです。
なぜお断りをしなくてはいけなかったのか?
断られた方にも言い分があると思いますので、ここで「詳細な状況」を僕から一方的に話すのはフェアでは無いと思うので言いませんが「普通なら痛すぎる決断をした」という事は、それにはちゃんと「僕なりに譲れない理由」があり、これを断らずにお受けするという事は「僕自身の魂を殺すことになる」と判断したのでお断りをさせて頂いたという事だけは言っておきます。
言ってみたら60歳にもなるいい歳したお爺ちゃんが、わがままな事を貫いただけという事です。

ほとんどのお客様とは信頼関係を築き、心地よい関係の中で仕事ができています。
今回お断りしたお客様も、僕とは合わなかっただけで、その方たちにとって最良の美容師やサロンが、きっとどこかにあると思います。
それぞれにご事情やご期待があったはずですし、僕が断ったことで、不快な思いをさせてしまったかもしれません。
断った事は決してお相手を否定するつもりではなく、僕自身が誠実に、穏やかに働き続けるための判断だったことをご理解いただければと思います。
「断る=武勇伝」ではない、できれば断りたくなんてない
誤解されたくないのですが、お客様を断ったことを武勇伝にしたいわけではありません。
本音を言えば、僕だってできることなら断りたくない。ご予約を受けて、丁寧に施術して、喜んでもらえるのが一番幸せです。
でも、相手の言動や要求が、自分の信念とあまりにもかけ離れていたり、他のお客様への影響が懸念されたりする場合──そのまま受け入れることで自分が消耗してしまいます。
僕にとって、矯正屋は「心から笑って働く」ための場所ですので無理をしてストレスを抱えてまで仕事を受けるのは、本末転倒なのです。
だから僕はお客様を選びます。
お客様を選ぶというのは、「選り好み」ではなく、「誠実に向き合える関係だけを大切にしたい」という想いの表れです。
僕は矯正屋を、そんな想いに共感してくれる人たちだけが集まる場所にしたいと思っていますし、実際にそうやって築いてきた関係性のおかげで、ありがたいことに口コミや紹介だけで予約が埋まるようになりました。
悪い口コミを書かれるリスクについて、僕なりの考え方
こういう判断をしたとき、やはり頭によぎるのは「悪い口コミを書かれたらどうしよう」ということです。
美容師をしている多くの方にとって「悪い口コミ」は非常に困りものだと思います。
「悪い口コミ」を恐れ理不尽なお客様にも言いたいことが言えない人も多くいるはず、それがストレスになり美容師が嫌になり美容業界を去っていく人もいると聞きます。
でも僕は「悪い口コミ」なんてそれほど気にする必要はないと思っています。
いろんな人を相手に仕事をしている訳ですから、100%全ての人に好かれるなんてあり得ませんし、自分を否定する人がいる事なんて当たり前なんです。
If you have no critics, you’ll likely have no success.(もし君を批判する人がいなければ、君はおそらく成功しないだろう。)
──アフリカ系アメリカ人のイスラム教徒の牧師であるマルコムXの言葉です。
実際に、今日お断りした一人のお客様からは、LINEで厳しい言葉が返ってきました。
- 「酷い店だ」
- 「商売人として最低だ」
- 「詐欺罪で訴える」
- 「矢沢永吉が泣いている」……など
正直、矢沢永吉さんが僕の為に泣いてくれたら嬉しいですがw 矢沢永吉さんは僕の為には泣かないでしょう(笑)。
でも、こうしたやりとりを通じても解るように今後口コミで酷評を書かれる可能性も高いと思います。
でも僕は、それでもいいと思っています。
なぜなら、本当に信頼できる人たちは、口コミの“言葉の裏”をちゃんと読み取ってくれるからです。1〜2件の悪いレビューよりも、長年積み重ねてきた多数の良い口コミの方がずっと雄弁に語ってくれます。
見ている人は見ています。 誰が何を大切にしていて、どんな人を相手に仕事をしているのか──文章や空気感で自然と伝わるものです。
だから僕は、悪い口コミが怖くて信念を曲げることの方が、ずっと怖いと感じます。

お客様を選ぶことで生まれる“幸せな仕事”
独立して美容室を始めた25歳の頃の僕は、とにかくお金が欲しかったです。
お金が全てだと考え、よりお金を稼ぐ事を最優先にしてきました・・・
若い頃はそれぐらい野心的で良いと思いますが、お金に執着するという事は同時に、理不尽な要求や、誠実さのない態度に振り回される事も頻繁にあるという事です。
60歳になった今、あの頃のような野心はなくなり
お金よりももっと大切なものを守りたいと言う考えに代わってしまった自分がいます。
どちらが正解かはわかりません。しかし、あの頃に比べて、今の方が心はずっと穏やかで仕事に対して前向きでいられるのは事実です。
お断りするという選択は、決して「偉そうになった」とか「選民意識」ではありません。僕のような一人営業の弱小店にとっては、むしろリスクの高い決断です。
でも、それでも守りたいものがある。
それは「自分の魂」と、「本当に大切なお客様との時間」です。
今日お断りした2名の方には申し訳ないけれど、それでもこの選択をして良かったと思っています。
こうした出来事をわざわざ発信することは、正直に言えばリスクもあるし本来は黙っていた方がいいのかもしれません。
でも、あえて書いたのは、今の時代にこそ「本音で生きる姿勢」が必要だと感じているからです。
僕のような一人営業の美容室にとっては、すべてのお客様が大切な存在です。
だからこそ、自分の心を守り、他のお客様との信頼を守るためにも、「選ぶ」という勇気が必要なんだということを、同じように悩んでいる美容師さんや個人事業主の方に伝えたかったのです。
「お客様は神様」と言われる時代から、「お互いを尊重し合う関係」が大切にされる時代へ
その転換点に、僕自身の体験が少しでも参考になればと思い、あえてこの話を発信することにしました。
明日は、また新しいご縁に恵まれますように。
