矯正屋誕生秘話
第2話 予約を断る美容師
前回のお話で、僕は縮毛矯正の神様の呪いによって、嘘がつけなくなりました。
「できます。」
「大丈夫です。」
そんな言葉が、どうしても言えません。
その結果、一番困るのは、お客様が来店された時です。
予約はお受けします
「予約できますか?」
もちろん、お受けします。
昔の僕も、今の僕も、それは変わりません。
でも、問題はここからです。
実際に髪を見て、
お客様のお話を聞いて、
過去の施術履歴やダメージを確認すると、
どうしても口から出てしまう言葉があります。
「申し訳ありません。」
「今回は、お受けできません。」
昔の僕なら、こんなこと絶対に言いませんでした。
せっかく予約をいただいたんです。
あとは施術をして、お金をいただけばいい。
それで終わりです。
でも今は違います。
また言ってしまった…
- まだ縮毛矯正をするには少し早い場合。
- 縮毛矯正をするほどの癖毛ではない場合。
- 縮毛矯正以外の方法の方が、お客様に合っている場合。
そんな時は、
「大丈夫ですよ。」
「やっておきましょう。」
そう言って施術すれば、それで売上になります。
お客様も喜んで予約して来てくださっている。
商売として考えれば、その方が楽なんです。
でも…
「まだ、やらなくていいと思います。」
「今回は違う方法の方がいいですね。」
「今は様子を見ましょう。」
そんな言葉が、勝手に口から出てしまいます。
縮毛矯正の神様の呪いは、今日も健在です。
お客様も困惑します
当然、お客様は驚かれます。
「え?予約したのに?」
そう思われても仕方ありません。
時間を空けて来てくださったのですから。
僕だって、本当はお断りなんてしたくありません。
でも、
自分の心に嘘をついて
「大丈夫です。」
とは、どうしても言えないのです。
本当に申し訳ないと思っています
実は、お断りするたびに思います。
予約の前に、もっと詳しくお話を聞けていたら…。
写真を見せてもらえていたら…。
お互いに、こんな残念な思いをしなくて済んだかもしれない。
そう考えるようになりました。
そして僕は、一つの結論にたどり着きます。
美容室は、いきなり予約する場所ではない。
まずは相談。
話は、それから。
この考え方が生まれた理由を、次回お話しします。
──第3話「美容室はいきなり予約してはいけない」へ続く。

➤嘘がつけなくなった美容師の話|矯正屋誕生秘話 第1話

