今、若手美容師の間でフリーランスと言う働き方が増えています。
フリーランス美容師とはどんな営業スタイルなのかと言うと、サロンに雇われるのではなく、個人で業務委託契約や面貸し契約などを結び、独立採算で働く美容師のことで「自由な働き方」「高単価・高収入」を求めてフリーランスを目指す人が急増しています。
しかし、自由の裏には責任もつきもの。実際にフリーランスになってから「思ってたのと違った」と感じる人も少なくありません。
この記事を書いたのは、実は僕の長女が長年勤めていたサロンを離れ、フリーランス美容師として新しい一歩を踏み出したことがきっかけです。
彼女には心から成功してほしいと思っています。
そして、同じようにこれから独立を目指す若い世代の美容師のみなさんにも、自分の力で道を切り拓き、やりがいのある働き方を手に入れてほしい。
そんな願いを込めて、この文章を綴りました。
これからフリーランス美容師を目指すあなたが事前に理解して知っておくおくべき現実と心構えをお伝えします。
目次
フリーランス美容師になる前に知るべき10のこと
1. 自分の集客力が“全て”を左右する
フリーランスになると、お店の集客力には頼れません。「あなたに会いに来るお客様」だけが収入源になります。
SNS、ブログ、LINE、口コミ──全て自力で育てていく覚悟が必要です。
2. 技術だけでなく“接客力”も命
技術があっても「会話が苦手」「空気が読めない」ではリピートされません。特にフリーランスでは一人の接客がすべてを決めるため、接客力・人間力が武器になります。
3. 時間の自由=収入の不安定
「好きな時間に働ける」というのは魅力的ですが、その分収入は完全に自己責任。売上ゼロの日もある。だからこそ時間の使い方と自律力が問われます。
4. 税金・保険・確定申告は全部自分
フリーランスになると、
- 国民健康保険・国民年金の手続き
- 開業届の提出
- 毎年の確定申告 など、事務作業もすべて自分で管理する必要があります。
5. メニュー・価格設定は「戦略」が命
高すぎても安すぎてもダメ。自分の価値、地域性、ターゲットに合わせて価格を設計し、適正な単価で信頼と利益を両立させることが重要です。
6. 相談できる仲間が減る
サロン勤務と違って、先輩も後輩もいません。相談相手がいない孤独感は意外と大きいです。
▶ SNSのDM、LINEグループ、勉強会などで**“外の繋がり”を意識的に持つことが大切**です。
7. すべてのクレームも一人で対応
トラブルが起きても守ってくれる上司や会社はいません。謝罪・対応・信頼回復すべて自己責任です。
その分、信頼を勝ち取ったときの喜びも大きいですが、心のタフさも必要になります。
8. サロン選びは“居心地”より“条件と相性”
面貸しやシェアサロンを使う場合、見た目や雰囲気だけでなく、
- 家賃や歩合の割合
- 備品・設備の有無
- 営業時間の柔軟性 などを現実的にチェックしましょう。
9. 「自分の看板」が武器になる
名前や人柄、発信スタイルなど、あなた自身がブランドになります。
今すぐフォロワーが少なくても、継続と一貫性で“選ばれる人”になれるので、早くから仕込みを始めましょう。
10. フリーランスは“自由と孤独”の両方を受け入れる働き方
自由は魅力です。でもその裏には、責任、プレッシャー、孤独もあります。
それでも「自分らしく働きたい」「価値を正しく届けたい」と思うなら、フリーランス美容師という道は、やりがいのある最高の働き方です。
「フリーランス」と「独立」は似ているようで少し違う概念です。
比較項目 | フリーランス美容師 | 独立美容師 |
---|---|---|
働き方 | 他人のサロンを間借り(面貸し・シェアサロン)して働く | 自分の店(サロン)を持って働く |
経営責任 | 基本的に“個人事業主”だが、経営というより「自営業者」 | 店舗の経営者として、人・物・金の全責任を負う |
固定費 | 低い(席代や売上歩合のみ) | 高い(家賃・光熱費・設備投資・人件費など) |
自由度 | 高い(働く日・時間・料金・施術内容) | 高いが責任も大きく、スタッフがいれば制約も出る |
集客方法 | 基本は自分で集客(SNS・紹介) | 自分+店舗ブランドとして集客が必要 |
例えるなら | フードトラックのシェフ | 自分のレストランのオーナーシェフ |
フリーランス=「自分の手だけで商売をしている人」
「場を借りて」施術して報酬を得る働き方。低リスク・高自由度。
自由に働きたい・一人で完結したい人向け独立=「自分の城(店)を構えた人」
店を出して経営まで行う。リスクも責任も大きいが、ブランドや資産が構築できる。
ブランドを作りたい・人を育てたい・資産を持ちたい人向け

フリーランスの主な営業スタイル(4タイプ)
① 面貸し(ミラーレンタル)型
既存の美容室の1席を「時間単位や日単位」で借りて施術を行う
自分の顧客を自分で集め、施術・会計まで全て自己責任
売上はすべて自分のものだが、「席代(場所代)」を支払う必要がある
👉 自由度:高 / コスト:中 / 集客:自己責任
② 業務委託型(歩合契約型)
美容室に「所属」しながら、雇用ではなく個人事業主として働く
施術件数や売上に応じた歩合報酬(50〜70%程度)が主流
自分の顧客でなくてもお店に来たお客様を施術することが多い
👉 自由度:中 / コスト:低 / 集客:お店の集客に依存
③ シェアサロン型
複数の美容師が独立した形でサロン空間を共有するスタイル
備品・設備・受付などを共同で使える場合が多く、完全個室型もあり
自由とサポートのバランスが取れている
👉 自由度:中〜高 / コスト:中 / ブランド構築:可能
④ 出張・訪問美容型
顧客の自宅や施設、企業などへ出向いて施術を行う
高齢者や身体が不自由な方、育児中のママに需要あり
移動時間・備品持参などの負担はある
👉 自由度:最高 / コスト:低 / 体力的負担:大きめ
フリーランス美容師の魅力とは?
フリーランスになると、自分の人生に自分で舵を切れるようになります。
出勤時間に縛られず、売上ノルマも、他人の顔色もうかがわなくていい。
「この人の髪を本気で綺麗にしたい」
そんな想いにまっすぐ向き合えるのがフリーランスの働き方です。
働く場所も、施術メニューも、価格も、すべて自分で決められる。
だからこそ、お客様との関係も一対一の深いつながりが生まれます。
時間に追われる毎日ではなく、自分の価値に合ったペースと空間で、美容師としての誇りを持って働ける。
それが、フリーランスという選択です。
勤務時間・休日を自分で決められる
自分のやりたい施術・価格で働ける
働いた分だけ収入になる(売上の自由)
サロン内の人間関係のストレスが少ない
フリーランス美容師のデメリットとは?
自由な働き方として注目されるフリーランスですが、その裏には責任と孤独がつきまといます。
まず、集客・予約管理・会計・クレーム対応──すべてをひとりで担う必要があります。
誰かに助けを求める上司も先輩もおらず、トラブルが起きたときには自分で判断し、対応しなければなりません。
また、安定した収入が保証されないという不安定さもつきものです。体調を崩して休んだ日には、当然ながらその日の売上はゼロ。固定客が少ないうちは、収入に波が出ることも避けられません。
加えて、社会保険や年金、確定申告といった事務作業や税務の知識も不可欠になります。会社に勤めていた頃には意識しなかった「見えない仕事」が意外と多いのです。
そして何より、孤独感との付き合い方も大きな課題です。自由である反面、誰にも評価されず、誰からも叱られない毎日に、モチベーションを維持する難しさを感じる瞬間もあるでしょう。
社会保険なし(自分で国保・年金加入が必要)
集客・予約管理・会計・税務などすべて自分で行う
安定収入まで時間がかかる
「孤独感」や「モチベーション維持の難しさ」
フリーランスになることは、ゴールではなく“スタート”。
フリーランスという働き方は、自由の裏にリスクが隠れています。
保証された給料もなければ、社会保険もなければ、代わりに責任を背負ってくれる上司もいません。
つまり、守られる立場から、自分ですべてを背負う立場へと変わるということ。
そのリスクを受け入れてまで独立したなら──
「店舗に勤めていた頃よりも、稼げないと意味がない」です。
もし収入が変わらない、むしろ減っているとしたら、それは「ただ環境を変えただけ」に過ぎずに、自由の代償に安定を手放す意味があったのか?という残念な話になります。
そうならないために絶対に考えないといけないのが集客です。
フリーランス美容師にとって「集客」は最大の仕事
フリーランスという働き方は、どれだけ技術があっても、お客様がいなければ収入はゼロです。
「今までの店のお客様がそのまま来てくれるだろう」という考えは危険で、実際に独立後に思った以上に集客に苦労する方が非常に多いのが現実です。
面貸しサロンやシェアサロンも、店舗として集客をしてくれる場合がありますが、それに依存するのはリスクが高いです。
なぜなら、それは「自分の看板ではなく、借りている店の看板」でお客様が来ているからです。
本当の意味で自由に働くためには、自分自身の力でお客様を呼び、信頼を積み上げていく必要があります。
だからこそ、独立した瞬間から“自分の集客基盤”を持つことが何より大切です。
最低限必要な「3つの集客ツール」
これからフリーランスを目指すなら、まず以下の3つは絶対に用意しましょう。
① ホームページ(Webサイト)
あなたの「オンライン上の名刺・看板」です。
メニューや価格、プロフィール、施術事例、お客様の声を掲載し、信頼性を高めるために必須です。
最近では、アメブロや無料の簡易サイトをホームページ代わりに使っている人も多いですが。
たしかに手軽に始められるのは魅力ですが、正直なところ、見た目や信頼性の面でマイナスイメージを持たれることも少なくありません。
特にフリーランスの場合、ホームページはあなた自身の「顔」であり「看板」です。
ここにこだわらずに済ませてしまうのは、本当にもったいないことです。
また、無料サービスではデザインや機能の自由度が低く、思うようにカスタマイズできなかったり、急に規約が変わって使えなくなるリスクもあります。
だからこそ、しっかりと自分だけのホームページを持つことを強くおすすめします。
「業者に依頼するのは高いしハードルが高い」と感じるかもしれませんが、今はWordPressを使えば、特別な知識がなくても簡単にホームページを立ち上げることができます。
テーマ(テンプレート)を選んで、写真や文章を入れるだけでも十分に見栄えのするサイトが作れます。
お客様に「この人にお願いしたい」と思ってもらうためにも、ホームページにはこだわってみてください。
それは、あなたの価値を正しく伝えるための最初のステップです。
💡 ポイント
独自ドメインを取得する(例: www.〇〇.com)
予約導線を分かりやすくする
ビフォーアフターの写真を掲載
② Googleビジネスプロフィール
フリーランスでも個人事業主として登録できます。
特に「地域名+美容室」で検索するお客様に対して強力な集客導線になります。
Googleビジネスプロフィールは、あなたを探しているお客様と最短距離でつながる集客ツールです。
・Google検索やGoogleマップにあなたの情報(住所、営業時間、口コミ、写真)が表示される
・「地域名+美容室」で検索した見込み客に見つけてもらえる
・無料で登録でき、口コミが集まることで信頼性が高まる
つまり、知名度ゼロからでも地域の検索流入を獲得できる、最強の看板です。
フリーランスや面貸しでも登録できるので、必ず活用しましょう。
💡 ポイント
必ずオーナー登録をして情報を最新に保つ
定期的に写真を追加する
口コミを積極的に集める
Googleマップ上で表示されるので、知名度ゼロからでも検索経由で新規集客が見込めます。
③ 公式LINE
「ホームページやGoogleから来てくれたお客様を“リスト化”してつながり続けるツール」です。
一度来てくれたお客様を失客せず、リピートや紹介につなげるために必ず用意しましょう。
💡 ポイント
予約受付・リマインドをLINEで完結
来店後に「友だち追加特典」を用意する
定期的にニュースレターやキャンペーンを配信
公式LINEは単なる「連絡ツール」ではなく、お客様との関係を育てる資産です。
集客の流れをデザインする
簡単にいえば、
Googleビジネスプロフィール・ホームページからあなたを知ってもらう → 公式LINEに誘導して関係を育てる
この導線が、安定したフリーランス経営を支える土台になります。
例えば、
Googleで「〇〇駅 美容室」と検索→ビジネスプロフィールを見つける
ホームページで施術事例をチェックする
公式LINEを友だち追加して予約
施術後もLINEでコミュニケーション
この流れを設計すれば、「知ってもらう→選んでもらう→つながり続ける」をすべて自分でコントロールできます。
既存のお客様に頼るだけでは未来はない
「これまで担当していたお客様がきっと来てくれる」
その気持ちはわかりますし、実際ある程度は来てくれるかもしれません。
でも、何らかの理由で来なくなったり、数が減ったりするのは避けられません。
だからこそ、新規集客を自分の力で仕組み化することが、将来的な安心につながります。
公式LINEを“連絡だけのツール”で終わらせない
「予約のやり取りだけにLINEを使っている」のは、非常にもったいないです。
LINEには、
予約の自動返信
来店前のリマインド
来店後のフォロー
誕生日クーポン
紹介キャンペーン
など、リピーターを増やす機能が豊富に備わっています。
さらに、お客様に「お友だち紹介」をお願いすることで、紹介客も自然に増えていきます。
集客に悩んだら「行動量」が正解
集客は魔法のようにすぐ結果が出るものではありません。
でも、行動し続けた人だけが、半年後、一年後に「選ばれる美容師」になっています。
「いつかやろう」と思っている間に、行動した人にお客様を取られます。
だからこそ、まずは
✅ ホームページを用意する
✅ Googleビジネスプロフィールを登録する
✅ 公式LINEを整える
ここからスタートしましょう。
