大阪の 縮毛矯正 専門店・矯正屋の辻和典です。
今日は矯正屋の縮毛矯正で絶対に欠かす事のできない「被膜」について書いてみたいと思います。
ちょっと専門的なお話しです。
専門的なウンチクって読むのがダルイとは思うので、普段はあんまり書かないのですが、化学が恐くて自然や天然が髪に優しいって洗脳されている人が多いので、あえて専門的なウンチクを書きます。
目次
縮毛矯正 に欠かせないポリイオンコンプレックス
矯正屋の縮毛矯正で行っている被膜処理とは、専門的に言うと「ポリイオンコンプレックス」と言い、プラスの性質を持つポリマーとマイナスの性質を持つポリマーを髪の上で吸着させ水やシャンプーでは取れにくい状態を作る事を言います。
それにより・・・
- 髪の毛を保護する
- 健康毛の疎水性に近づける
- 髪に美しい艶を与える
- 髪に柔らかな手触り感を与える
など、艶髪や美髪に欠かす事の出来ない効果を与えます。
ところで、あなたは「髪に皮膜をはる」と聞くとどんなイメージを持ちますか?
皮膜ってサランラップのようなシート状のフィルムみたいなものが「ツルン」と髪を包み込んでいる・・・と言う認識(イメージ)を持っている人も多いようです。
そして、そういったイメージからなんだか色々と悪くいわれます。
キューティクルの呼吸に悪影響を及ぼす!・・・だとか。
毛髪内部に「薬液残留」というデメリットが考えられる・・・だとか
パーマやカラーをしたらみんな皮膜が邪魔して弾いちゃう・・・だとか
まぁ色々と言われています。
そして、そう言う情報を信用して「皮膜=危険だ!」って思っているお客様も少なくありません。
確かに皮膜がサランラップのようなシート状のフィルムみたいなものでしたら
キューティクルの呼吸に悪影響を及ぼす!
毛髪内部に「薬液残留」というデメリットが考えられる
パーマやカラーをしたらみんな皮膜が邪魔して弾いちゃう・・・だとか言われている事が考えられるのかもしれませんが・・・
ですが、実はその認識はかなり間違っています。
実際の皮膜は髪に目の粗いストッキングを被せたような感じです。
なので、水も薬剤も簡単にスルスル通り抜けますし「薬剤残留」も起きません。
もっと正確に言うと・・・
「薬剤残留」するように被膜を作ろうと思ってもそれは不可能な事なのです。
どんなに頑張ってアルキルカチオンコンプレックス処理をして皮膜を作っても「薬剤残留」をさせることは出来ません。
何故なら、目の粗いストッキング状に皮膜しているだけなのでミクロの世界で見ると「隙間だらけ」だからですw
カチオン性のポリマーとアニオンのポリマーを混ぜると、ポリイオンコンプレックス・・・いわゆる「皮膜」が生成されますが、これがどのような状態かというと、長い毛糸や短い毛糸がもつれ合ったような状態です。
つまり長短様々な長さの毛糸がもつれ合ったような状態がポリイオンコンプレックスであり「皮膜」なわけです。
そしてその形状はミクロの世界で見ると隙間だらけです。
もちろんこれは綺麗に平面状に整列もしませんし、オートマチックにメッシュ状のシートになって皮膜を張るわけでもありません。
もっと言えば、分子の大きさが違うものをあえて数種類つかうわけですからフィルムのような綺麗な平面状になんてなるはずがないのです。
コンプレックスの主体となるカチオン・アニオンの分子量は数万~数十万です。
分子量とは長さです。
「球」の大きさじゃなく「長さ」なんです。
例えば・・・
長い毛糸が高分子・短い毛糸が低分子って感じです。
被膜をすると毛髪内部に「薬液残留」というデメリットが考えられる・・・と言われている「薬剤残留」とは、おそらくモノエタや還元剤のことを指していると思うので少し分子量を比べてみましょう。
エタノールアミンの分子量61(残留アルカリ)
チオグリコール酸の分子量92(残留還元剤)
それに対してカチオンコンプレックスの分子量の平均値10万ほどです。
カチオンコンプレックスの分子量平均値10万と比べると・・・
100000÷61=1639.3
100000÷92=1086.9
1000倍以上も大きさが違うわけですから、残留アルカリや残留還元剤は簡単にスルスル通り抜けますよね。
これは、どれだけ重ねてコンプレックスしても「化学反応で生成されるポリイオンコンプレックスの構造」なので変わりありません。
つまり、ポリイオンコンプレックスが強いから水や薬剤が通り抜けないとか、弱いから通り抜けるということは無いのです。
縮毛矯正 で何よりも大切な事は「毛髪の疎水化」
ダメージの無い健康な髪の毛は「疎水性」と言って水を嫌う性質を持っています。
逆にダメージ毛は「親水性」といって水を好む性質になります。
健康な髪はドライヤーですぐに乾くのに傷んだ髪になればなるほど中々乾かないのは、髪の毛がより親水性になっている事が原因です。
つまり縮毛矯正をはじめとした美容技術で大切な事は
- 健康な髪の疎水性を損なわない事
- 親水性に傾いたダメージ毛を疎水化させる事
この2点が非常に重要な課題になってきます。
矯正屋で行う皮膜処理は
- コアセルベート
- アルキル化ケラチン
- カチオンコンプレックス
と言う3つのステップにより行われ、健康な髪の疎水性を守り、ダメージ毛を強力に疎水化させます。
コアセルベート
コアセルベートとは、疎水化のためのファーストステップであり大切な下地処理です。
このコアセルベートを上手く行わないと、次のステップのアルキル処理が全く作用しなくなってきます。
何故なら次のステップで使うアルキル化ケラチンとは、水を嫌う性質を持っていますので、親水性であるダメージ毛には吸着しづらいからです。
コアセルベートにより次のステップのアルキル処理が乗りやすいような下地を作っておく事でアルキル化ケラチンが効果的に働くという訳です。
アルキル化ケラチン
コアセルベートでの下地処理の後に「アルキル処理」を行います。
アルキル化ケラチンというケラチンに油成分を化学的にくっつけた基礎補修タンパクを使います。
通常のピュアなケラチンと比べ吸着性がダントツに違い、ツヤツヤの油性感や手触りのなめらかさ・・・つまり仕上がり感が別格となります。
そして・・・
何よりも大切なこと!
それは・・・
アルキル化ケラチンは、傷んだ髪を疎水性に持っていくために最強の補修剤と言っても過言ではないという事です!
アルキル化ケラチンを働かせる為のコツ
アルキル化ケラチンとは、ケラチンに油成分を化学的にくっつけたものなので油の性質を強く持っています。
そこで、アルキル化ケラチンを効果的に働かせるために「水と油」の作用を応用します。
水と油って、全く混ざり合わないですよね。
この性質を利用するわけです。
油は大量の水の中では、油どうし同じものが集まろうとします。
この集まった油性成分が疎水性の皮膜を形成するわけです。
シリコンなども同じなのですが・・・
水を嫌うものは、大量に水を含んだ状況では、同じように水を嫌うものにくっつこうとします。
健康な髪=疎水
つまり油と同じ水を嫌うものですよね!
なのでアルキル化ケラチンが髪に強力にくっつこうとします。
油性成分がくっついたアルキル化ならではの特性です!
アルキルタイプのケラチンは「水疎水」と言われており、大量の水で疎水化し水に対して流れにくくなるという特性を持っています。
では親水性の傷んだ髪には働かないのか?
傷んだ髪とは、親水性で水を好む状態になっているので、水を嫌うアルキル化ケラチンは吸着しづらくなります。
そのために、下地処理のコアセルベートが必要になってくるわけです。
つまり・・・
傷んだ髪をコアセルベートで下地処理していることで、傷んだ髪でもアルキル化ケラチンがくっつこうとするわけです。
しかもこのアルキル化ケラチン自身も同時に、カチオンというもう一つの性質を持っていますのでダメージヘアにも吸着していくように設計されています。
だから・・・
傷んだ髪を疎水性に持っていくための最強の補修剤と言っても過言ではないのです!
イオンコンプレックス
矯正屋の皮膜処理の最後のステップがイオンコンプレックスです。
コアセルベーション+アルキル処理+イオンコンプレックスによって皮膜処理が成り立っています。
+か-の電荷を帯びた原子のことをイオンと言い
プラスイオンのことを「カチオン」
マイナスイオンのことを「アニオン」と呼びます。
そして・・・
恐らくこれは小学生低学年でも知っていると思いますが、+と-は引っ付きます。
この極性の違う+-は引っ張り合ってくっ付く・・・という作用を応用した技術がイオンコンプレックスです。
マイナスの電荷をもつ「アニオン化ポリマー」とプラスの電荷をもつ「カチオン化ポリマー」を重ねることで+-が引っ張り合ってくっ付いた水に流れない疎水性の皮膜(複合体=コンプレックス)を作る事がイオンコンプレックスです。
そもそも傷んだ髪は、マイナスイオン側(親水性)によっています。
施術の際には、その傷んでマイナスイオン側によっている髪を濡らします。
濡らした髪は、さらにマイナスイオン側(親水性)によっていきます。
さらにその濡らした髪をシャンプーします。
シャンプーの活性剤はアニオン性なので、またまたさらにマイナスイオン側(親水性)によっています。
なので・・・
そのめちゃくちゃマイナスイオン側によった髪に、プラスイオンであるカチオンを乗せるだけでコンプレックスが起き疎水性の皮膜が出来上がります!
そこに、さらにマイナスの電荷をもつ「アニオン化ポリマー」をかぶせていくダブルコンプレックスを行うのが矯正屋でやっているカチオンコンプレックスです。
イオンコンプレックスで疎水性の皮膜を作った髪は、手触りも良くツヤを持続させることが出来ます。
でも・・・
髪が艶々のキラキラになるって言うのは、本当は重要じゃないんです。
勝手に・・・結果的にキラキラになるだけの事なのです。
本当に大切なのは、疎水=水を嫌う髪にする事。
つまり乾きやすい髪を作る事なのです。
ツヤツヤ・キラキラの髪は、この「疎水」をしっかり行った結果に勝手に出るだけなのです。
だから・・・
コアセルで下地=疎水
アルキル処理=疎水
イオンコンプレックス=疎水
このように徹底的に疎水に振っていく事がヘアケアでは大切なのです。
世間では化学が恐くて自然や天然が髪に優しいという様な誤解をしている人が多くいますが、ヘアケアにおいては化学技術は絶対に欠かすことが出来ない重要なものです。
化学が恐くて自然や天然が髪に優しいというのは一種の洗脳だと思います。