大阪の縮毛矯正専門店・矯正屋の辻です。
縮毛矯正の専門家として本当は秘密にしておきたい事なのですが、私は縮毛矯正の専門家としての20年以上の歴史の中で縮毛矯正での大きな失敗を2回犯しています。
目次
自分史上最大の失敗・この失敗があったから僕は縮毛矯正の専門家になれた
まず最初に言っておきたいことは、失敗という物の存在を忘れてはいけないと言う事です。
何故ならどんな天才でも失敗は必ず犯すからです。
私は20年以上の縮毛矯正の専門家と言う歴史の中で過去に2回非常に大きな失敗を犯しました。
失敗してしまったお客様には今でも大変申し訳なく思っていますが、私はこの大きな失敗から大切な事を沢山学ぶ事が出来ました。
現在の私は「縮毛矯正の失敗」を常に意識しています。
現在の私の縮毛矯正の根幹にある考え方に「職人は臆病でなくてはならない」と言う考えがあります。
- もしかするとこの縮毛矯正で失敗を犯すかもしれない
- 本当にこのやり方で大丈夫なのか?
- この縮毛矯正に失敗するとお客様がどれだけ悲しむか
そんな「縮毛矯正の失敗」を常に意識し、臆病と思われるほど慎重に縮毛矯正を行います。
ですので・・・
そんな感覚を持ち続けている以上は大きな失敗を犯す事は少ないでしょう。
こうした考えに至ったのも、過去に犯した2回の非常に大きな失敗があったおかげだと思っています。
30年前の縮毛矯正との最初の出会いで悲惨な大失敗を体験
今から30年ほど昔の話・・・
その時私は縮毛矯正という物に初めて出会いました。
しかしその出会いは最悪の出会いであり、当時26歳だった私は「縮毛矯正なんか二度としない」と心に誓ったのを覚えています。
その私がその八年後に縮毛矯正専門店をOPENさせ20年以上も縮毛矯正の専門家を続けていると言うのは何だか不思議な気持ちです。
当時は縮毛矯正を行っている美容室など殆どなかった
私は25歳の時に大阪の八尾市に美容室をOPENさせました。
当時はカットやパーマが主流で、縮毛矯正と言う言葉すらなくストレートパーマと言うメニューで展開している美容室が殆どです。
当時の私は、このストレートパーマが大嫌いで独立開業した自分の店にはストレートパーマは必要ないと言うスタンスでした。
何故ストレートパーマが大嫌いだったのか?
それは、そんなものをしても癖毛が真っ直ぐになる事など全くなく、お客様をガッカリさせる事が施術している私たちに取っても大きなストレスだったからです。
そんな中で大手の美容室が縮毛矯正を展開しだしました。
当時、TVコマーシャルをバンバン打ち全国展開している乗りに乗っている大手美容室がありました。
その大手美容室が○イヤ〇ストレートパーマと言う、単価7万円の本当に伸びるストレートパーマを展開し大ヒットさせていると言う噂が僕の耳に入ってきました。
当時はインターネットなど無かったので、情報の伝達が異常に遅くて他店の情報など殆ど入ってこなかったのです。
ちなみに、この時点でもまだ「縮毛矯正」と言う言葉は存在していませんでしたね。
そのように本当に伸びるストレートパーマなら是非試してみたいと思っていた矢先に、ある美容ディラーがタイミング良く私の店に営業にやってきたのです。
その美容ディラーから、大手美容室のストレートパーマと同じように本当に伸びるストレートパーマの薬剤を扱っているので是非試してくれませんかと提案され私はその提案を受け入れることにしました。
自店のお客様をモデルにデモンストレーションを実施
お客様にお願いして自店で新しい薬剤のデモンストレーションを行うと言うのが当時は当たり前でしたので、最も癖の強いお客様にモデルをお願いし閉店後にデモンストレーションを行いました。
薬剤メーカーのインストラクターの指導の下に、私をはじめスタッフが施術に当たります。
とは言え施術の9割は薬剤メーカーのインストラクターが行い、私たちはシャンプーなどのほんの少しの補助をする感じでした。
この時の私は、薬剤から漂う異常なほどのアンモニア臭に違和感と嫌な予感を抱きましたが、まさかその嫌な予感が的中するとは思いもしませんでした。
大変です髪が溶けてます・・・は?何言ってるの?
塗布した薬剤をシャンプー台で流した時に異変を感じたスタッフが真っ青な顔で僕に小声で耳打ちしに来ました・・・
「大変です髪が溶けてます」
髪が溶ける????????
そんな状況なんて見たことも聞いたことも無かったので、僕には彼が言っている言葉の意味がよく理解できませんでした。
急いでシャンプーボールを覗いてみると、本当に髪が溶けて落ちた髪の毛がシャンプーボールいっぱいに溢れている惨状・・・
この惨状を目の当たりにした僕は、気が動転し何をどう対処していいのかが全く分からずインストラクターに詰め寄るしかありませんでした。
「これはどうなっているんだ」
当のインストラクターも完全に動揺し「大丈夫です」としか言わず、モデルであるお客様の髪を触り「うん大丈夫」「うん大丈夫」「良い感じ良い感じ」と自分に言い聞かせています。
この段階で髪は滅茶苦茶に切れていますので大丈夫なはずが無いのに・・・です。
インストラクター失神で救急車を呼ぶ修羅場に
当然ながら結果は悲惨な大失敗・・・
お客様は泣きじゃくり、連絡を受けたお父さんが登場し何がどうなっているのかの説明を求めらました。
説明も何も「失敗した」としか言いようも無く僕が言葉に詰まっていた時に、同行していた美容ディラーの営業マンが「申し訳ございませんでした」といきなり土下座をしました。
この滅茶苦茶重い空気の中で、当のインストラクターは真っ青な顔で無言のまま直立不動しています。
少し様子がおかしいな・・と思った瞬間に彼は緊張のあまり失神して倒れてしまい救急車を呼ぶと言うとんでもない修羅場になってしまいました。
この縮毛矯正の失敗で学んだこと
それは縮毛矯正の恐ろしさであり、トラブルを受けたお客様の悲しみの深さです。
そして同時に、その失敗の責任に対する向き合い方も学ぶ事が出来ました。
今回のトラブルは、言ってみたら美容ディラーとインストラクターが犯したトラブルのようなものなので責任の所在をそちらに丸投げしても良かったのですが、やはり自店のお客様の事でもありますし地域密着型の美容室としてはこのトラブルから逃げるわけには行きませんでした。
私に出来る可能な限りの事はさせて頂きました。
具体的には言えませんが、かなりの額の金銭も使いましたし美容師らしく技術での責任の取り方も行いました。
彼女の為に毎朝早く出勤し、出社前の彼女の髪のメンテナンスを行うと言う事も2年近く続けました。
正直本当に大変でしたが、縮毛矯正の失敗を犯すとここまで大変な思いをお互いがしなくてはいけないと言う事を学びました。
これが僕と縮毛矯正との初めての出会いであり、絶対に縮毛矯正などは二度としないと心に誓った出来事でした。
縮毛矯正で大きな失敗をすると、お客様はもちろん施術した美容師も大変な思いをします。
だからこそ「職人は臆病でなくてはならない」と言う意識を忘れずに「縮毛矯正の失敗」を常に意識しながら施術する事が大切なのです。